それでも地球はまわってる

好きなものを好きと叫ぶ。自分がダメだと自覚する。それでも私は生きているし、世界は動くし、地球もまわってる。

【映画感想文】奇跡と大奥と硫黄島2作品とブラック・スワン

私は評論家でもなんでもないので、単純に感想を書くだけ。

ネタバレもあるかもしれないので、間違って辿りついた方は気をつけてください。

 

 

奇跡

一押しの兄弟漫才師「まえだまえだ」が実際に兄弟役で出てるっていうだけで、前々気になってた。そしたらたまたまケーブルで放送されたから録画してやっと観た。


弟の旺志郎が可愛過ぎて死ぬ。

 

両親の離婚?別居?で離れ離れで暮らす兄弟。

九州新幹線が繋がり、開通したばかりの九州新幹線が起こす「奇跡」を信じ、

一泊2日の小さいけど大きな旅に出る。

 
ありがちなこどもの冒険だけど、

出てくるこどもたちが凄く自然で、そういうのをきちんと残せるのは是枝裕和監督のいいところだと思う。

あくまでも子どもたちが主役で、オダギリジョー阿部寛樹木希林橋爪功などなど錚々たる役者が周りを囲んでいるのに、誰もこれも全然出張った演技をしてこない。子供の冒険を見つめる、普通の大人たちがそこにいた。

旅を事前に知っていた祖父。心配する母親たちをよそに、

「大丈夫だから」

って言う。

こういうのって、都会に住んでるとあり得ないんだけど(そもそも同居が少ないから)、

昔は良く観られた光景だったよなーって思った。

親には言えないけど、おじいちゃんおばあちゃんには言っておく。

みたいなの。凄くほっこりした。

 

淡々と進む、なんてことはない話だけど、観終わった後なんだかじんわりと温かい気持ちになった。
まえだまえだ、可愛いよ。

 

大奥

2年くらい前にもドラマ化&映画化されたが、これは二宮&柴崎の男女逆転大奥。

原作も読んだことあるし、ドラマ版も観たし、大奥好きだし、気にはなってたけど放置してた今作。

だって、ニノがな・・・。

いや、ニノは好きなんだ、大好きなんだ。

でも原作を知っている以上、やっぱり微妙なんだよなー・・・。

そのあと、堺正人と多部末華子の大奥観てたし、それがあまりにも良かったから本当に霞んじゃって。

でも、これまたケーブルで放送されてたから、録画しておいたの。

ムロツヨシとか阿部サダオとか、佐々木蔵之介とか、玉木宏とにかく豪華www

関ジャニの大倉君も美青年役良かった。

あと、堀北真希な。女神や、女神がおった。

今一番透明感あって乗ってるから、本当にああいう時代劇の中の娘役が良くお似合いです。ええ。本当に。

あと、柴崎コウの吉宗はよく似合ってた。

あるレビューで「気品が足りないが紀州の出だし、ありだ」みたいなのがあったが正にその通りだと思う。

柴崎コウは、顔の印象からああいう役は結構似合うと思うの。うん。

 

正直な!話はな!やっぱり映画の尺に収めるのは無理だったと思うんよ。

だって、大倉君との対決もさ、やっぱちょっと唐突過ぎるし。

色々展開が急過ぎるし。

こちとら原作エピ知ってるから、これまた行間補完しながら見てられるけど、予備知識なかったらやってられんわ。

 

原作大奥を知っていて、それとこれとは別物だ、かつ二宮が好き!っていう人だったら観てもいいけど、それ以外にはあまりおすすめしない。

 

硫黄島からの手紙/父親たちの戦場旗

 

 ずっと気になっててずっと観なかった作品。今更www

我ながら今更wwwとは思った、うん、知ってる。

 

硫黄島からの手紙

淡々と硫黄島における「戦争」とそれに翻弄される「人」を描いていました。ハリウッド映画だけど、これは「日本映画」だ。

 

正直ね、戦時中の日本人って、本当にどうしようもない人たくさんいたと思うの。

映画にもいたみたいに、ガチガチになっちゃって、

本来なんのために戦ってるのかわからないくらいガチガチになっちゃってる将校たちがたくさんいたと思うんだ。だから、東南アジアでも色々失敗したしさ。

それでもさ、栗林中将みたいな「まとも」な人も、間違いなくいたと思うの。

それは日本に限らず、あの大戦を経験した国全部に言えることだと思うんだけど。

 

そしてさ、「生きて帰ることは叶わない。その命を賭して国の礎となれ」って命令されて戦った一般兵たちはさ、今の価値観では到底理解できないけど、

あの当時の価値観だったら、ああせざるを得ない、そう考えるしかない、それを受け入れることを是としよう(不条理だけど)っていう価値観があったんだと思うんだ。

 

戦争についてここでどうこう言うつもりはないんだけど、

どう考えても劣勢で、きっと生き残ることは不可能だって誰もが思う状況で、

楽勝だとたかをくくっていた米兵たちがある意味絶賛するくらい、

あの場にいた、あの当時を戦った人たちは、ただただ純粋に、

「ここを死守しないと、本土に居る自分の家族が、その家族が生きていく"国"が危ない、だから何としてもここを守らないと」

っていう思いだけで必死に生き抜いて戦ったんだと思う。

指揮官級の軍人は、一方でそういう人ばかりじゃなくて、なんとか生き残ることや自分の名誉だけど考えてた人もいたと思うけど、

一般兵はそんなこと考える権利すらなかったからね。

そういう極限の状態で、やるしかない状態で、どうやって自分を奮い立たせたかって、上述した通りだと思うよ。

 

「永遠の0」はどちらかと言うと「人」にだけクローズアップし、実際にどれだけひどい戦闘があったかは(映画では)表現されていないので、それが大きな違いかなぁ。

受ける映像のショックさは比べ物にならないと思う。

どっちも良作。

 

<父親たちの戦場旗>

あー。アメリカだなーって感じ。

本当、日本なんてあんな悲惨な状況だったのに、

自分の国が戦場にならない国っていうのは、あれだけのことをする余裕があるんだよね。凄いわ。

 

昔っからショービジネスの国だから。

ああやって、国に利用され、食い物にされるっていうのは割と良くある話。

 

アイラがああやって苦悩していくのがわかる。

自分たちは、命がけであの激戦の硫黄島を生き抜き、

自分の仲間も敵である日本兵もどんどん倒れていく、正に地獄絵図のような処から生還し、

ショービジネスに駆り立てられる。

そうしている間に、かつての仲間たちが、どんどん倒れていく。

自分の変わりに死んでいった仲間が、敵が、どんな思いで自分を見ているのか。

それを考えると不安で怖くて仕方が無くなる。

そして、どんどん落ちていくんだ。

 

そして、同じような恐怖を覚えていたはずのレイニーは、

あえてそのことから目を背けるように、生き残った自分がすべきことはこれなんだ!!って、自分に言い聞かせながら、敷かれたレールに乗って行くんだ。

 

どちらもあり得る話だ。現実からの逃避で、闇へ逃げ込むか、明るい(と思う方)へ逃げ込むかの違い。どちらにしても、逃げているんだ。

 

その二人に挟まれるドクは、ある意味「強い人」だと思う。

どちらに逃げることもできない。葛藤を抱えながら、どちらにも行けない。

でもそれは「疑問と向き合い続けた」からこその結果だと感じる。

 

誰が正しかったとかいう話ではない。

ただ、あの戦争のかげで、政治家に食い物にされた人たちがいたんだっていうことを、三者三様で表現しただけ。

 

硫黄島は戦争の無益で無情で悲惨な部分が、

戦場旗は戦争による人(政治)の醜い部分が、

それぞれ切り取られ表現された良作だと思う。

 

ブラック・スワン

 

これも気になっててずっと観なかった作品。

大好きなナタリー・ポートマンアカデミー賞の主演女優賞を受賞した名作。

 

感想は端的に言ってしまえば、ミステリーでホラーでスポーツでそれらが融合した芸術的な映画だったよっていう(をい)

 

ナタリー・ポートマンの綺麗で清らかなお嬢さんバレリーナが、徐々に精神を病み、心が崩壊し、狂っていく様が素晴らしい。

そして、最終的に殻を破り、官能的なまでに己の感情を爆発させていく「黒鳥」が素晴らしい。

バレリーナの役だからね、ナタリーがガリガリなんだけどね、それがまたいいの。その「病的さ」が凄くいいの。

ナタリーって、基本的にお嬢様女優だからさ、あんまり汚い(と言っては失礼だが)役はやってこなかったんだよね。それが、このブラック・スワンでの大変身。

まじで、度肝抜かれた。

ナタリー・ポートマンといえばやっぱり「レオン」なんだけど、あの当時から持っていた才能を腐らせるでもなく大女優へとしっかり成長を遂げた様を観て、「一流」と呼ばれる人たちの才能と苦悩と努力を垣間見た。

同時期にもてはやされ、何かと比較もされていたクレア・デーンズは、その後パッとしなかったのに・・・。

しかし、ウィノナ・ライダーはエンドロール観るまで気づかなかったよ・・・。

 

どうでもいいんだけど、ナタリー・ポートマンの中でお気に入りの作品は「ブーリン家の姉妹」だよ。中世ヨーロッパの歴史などにも興味がある方は是非ご覧あそばせ。